遺愛寺


白居易の詩「遺愛寺」は、自然の美を描く五言絶句であり、その風景の優美さと詩人の自然への愛着をよく表現しています。以下はこの詩の日本語での鑑賞です。

原文

弄石臨溪坐,尋花繞寺行。
時時聞鳥語,處處是泉声。

鑑賞

  1. 風景の描写
    • 自然の美を捉える:詩の最初の二句「弄石臨溪坐,尋花繞寺行」は、詩人が遺愛寺の周囲で自然を楽しむ様子を描き出しています。詩人は小溪のそばで奇形の石を弄り、また花を探して寺の周りを歩きます。この二句は、詩人が自然に身を置き、その美しさを深く感じ取る様子をよく表現しています。
    • 音響の美を添える:次に「時時聞鳥語,處處是泉声」と、詩人は時々鳥の鳴き声を聞き、そしてどこにでも泉の音が響いていることを述べています。この二句は、風景の静謐と音響の生気を融合し、遺愛寺の自然環境をより立体的に表現しています。
  2. 表現手法の分析
    • 動静の結合:詩中は「動」と「静」を巧妙に結合しています。一方で、詩人が石を弄り、花を探し、歩く様子は「動」を表しています。他方で、鳥の鳴き声と泉の音は、風景の静謐を強調し、同時に生気を添えています。この動静の結合は、遺愛寺の自然風景をより鮮明に表現しています。
    • 感官の融合:詩中は触覚(石を弄る)、視覚(花を探す)、聴覚(鳥の鳴き声と泉の音)を融合し、詩人が自然を全面的に感じ取る様子を表現しています。この感官の融合は、読者に強い臨場感を与え、自然の美しさをより深く感じさせます。
  3. 詩人の感情詩中には、詩人が自然への愛着を含みます。詩人は自然の中で身を置き、その美しさを深く感じ取り、そしてそれを詩に表出しています。特に、「時時聞鳥語,處處是泉声」の二句は、詩人が自然の音響を愛しむ心情をよく表しています。
  4. 背景知識遺愛寺は、江西省九江市の廬山にあり、白居易が江州司馬の任にあった際に訪問した寺院です。この詩は、白居易が遺愛寺を訪問して、その自然風景を感銘を受け、それを詩に表したものです。

結論

白居易の詩「遺愛寺」は、自然の美を描く五言絶句であり、その風景の優美さと詩人の自然への愛着をよく表現しています。詩中は動静の結合と感官の融合を用い、遺愛寺の自然風景を鮮明に描き出し、読者に強い臨場感を与えます。

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