綉婦歎


以下は、白居易の詩《綉婦歎》の原文と、それに対するオリジナリティーに富む賞析です。


《綉婦歎》

連枝花様綉羅襦、本擬新年饷小姑。
自觉逢春遶怅望、誰能每日趁功夫。
針頭不解愁眉結、線縷難穿涙顔珠。
雖憑綉牀都不綉、同牀綉伴得知無?

賞析

白居易の《綉婦歎》は、綉物を作る女性の心情を描いた作品である。この詩は、綉婦が新年に小姑(夫の妹)に贈るための羅襦に連枝花様を綉っているところから始まる。しかし、その綉婦は春を迎えるにつれ、心に憂いを感じ、日々の綉い仕事にも身が入らない様子を描く。

「自觉逢春遶怅望」という句は、綉婦が春を迎えると同時に、何かを思い悩み、心が晴れない心情を表している。そして、「誰能每日趁功夫」と続け、日々の綉い仕事にも集中できず、時間を費やすことができないと嘆く。

以下、詩人は綉婦の愁いを具体的な描写で表現する。「針頭不解愁眉結」では、綉い針は綉物の糸を通す道具であるが、綉婦の愁いを結んだ眉を解くことはできないと比喩し、その深い憂いを表現する。また、「線縷難穿涙顔珠」では、綉い糸は綉物を作るために必要なものであるが、綉婦の涙に濡れた顔の珠(涙滴)を穿つことはできないと描写し、その悲しみを深く刻む。

最後の句「雖憑綉牀都不綉、同牀綉伴得知無?」は、綉婦が綉い牀に座っているが、実際には綉いをしていない様子を描き、そして同じ綉い牀で仕事をする仲間にそのことが知られているかどうかを問う。この句は、綉婦の孤独感と仲間との関係性を暗示し、さらにその心情の複雑さを深める。

総じて、《綉婦歎》は、綉物を作る女性の心情を細かく描いた、情感豊かな作品である。詩人白居易は、綉婦の日常の労働とその中での心の動きを捉え、当時の社会背景下で女性が抱える苦悩と悲しみを浮き彫りにする。この詩は、女性の内面世界の奥深さを感じさせる貴重な作品であり、我々に深い共感と理解を呼び起こすに違いない。

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