寄韬光禅師


詩の原文を先ず掲げます:

一山門作兩山門,兩寺原从一寺分。  
東澗水流西澗水,南山雲起北山雲。  
前臺花発後臺見,上界鐘聲下界聞。  
遙想吾師行道處,天香桂子落紛紛。

白居易、世に白楽天と呼ばれ、唐代の著名な現実主義の詩人である。彼の詩は題材が広範であり、形式も多様で、言葉は平易通俗で人々に深く愛されている。この《寄韬光禅師》は、白楽天が韬光禅師との交流を思い起こし、禅師の修行の地の風景とその道行に対する賛美と追憶を込めたものである。

「一山門作兩山門,兩寺原从一寺分。」詩の冒頭から、白楽天は天竺寺の独特な風景を描き出す。一山の門が二つの山門のように見えるのは、一つの寺が二つに分かれたためである。この一節で、白楽天は巧みに天竺寺の歴史と地理的特徴を描き、読者をその場面に引き込む。

「東澗水流西澗水,南山雲起北山雲。」この二句は、天竺寺の自然風景を描く。東の澗から流れる水は西の澗に流れ、南の山から立ち上る雲は北の山に広がる。この風景の描写は、天竺寺の自然の美しさを生き生きと表現し、同時に禅の境地とも重なる。水の流れ、雲の立ち上る様は、禅の心境の変化とも言える。

「前臺花発後臺見,上界鐘聲下界聞。」この二句は、天竺寺の建築と音響の特徴を描く。前の台で咲く花は後の台からも見える、上界の鐘の音は下界にも聞こえる。この描写は、天竺寺の広大さと深遠さを感じさせ、同時に禅の境地の無限さとも重なる。

「遙想吾師行道處,天香桂子落紛紛。」最後の二句は、白楽天が韬光禅師の修行の地を思い起こし、その場面を描く。天香の桂の実が紛紛と落ちる中、韬光禅師は行道をしていた。この描写は、韬光禅師の高い道行とその修行の地の神聖さを感じさせる。

総じて、この詩は白楽天が韬光禅師との交流を思い起こし、禅師の修行の地の風景とその道行に対する賛美と追憶を込めたものである。詩中には、天竺寺の風景の描写と禅の境地の表現が巧みに融合され、読者を深い禅の世界に引き込む。白楽天の深い文学の功底と佛教文化の理解と感悟がよく現れている。

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