白居易の詩「草」は、唐代の文学における傑作の一つであり、自然の生命力と人間の情感を深く表現しています。以下はこの詩の日本語での鑑賞です。
離離原上草,
一歳に一たび枯榮す。
野火燒けども盡きず,
春風吹いて又生ず。
遠芳侵古道,
晴翠荒城に接す。
又王孫の去るを送れば,
萋萋として別情滿つ。
鑑賞
- 自然の生命力を讴歌
- 詩の最初の四行は、原野上の草の生命力を讴歌しています。「離離原上草,一歳に一たび枯榮す」は、草が毎年一度枯れし、また一度栄える自然の循環を詩的に表現しています。特に、「野火燒けども盡きず,春風吹いて又生ず」は、草が野火に焼かれても尽きず、春風に吹かれれば再び生える強い生命力を象徴しています。この二句は、極めて有名で、多くの人々に心に残り、生命の頑強さを歌います。
- 人間の離別情を寄託
- 詩の後半は、草の生命力を通じて、人間の離別情を寄託しています。「遠芳侵古道,晴翠荒城に接す」は、草の生長が古道を覆い、荒城に接する様子を描き、春の生気と古い場所の対比を強調しています。そして、「又王孫の去るを送れば,萋萋として別情滿つ」は、草が王孫(友人を象徴する)の去り行くを送る姿を描き、草の萋萋と茂る様子を離別の情を満たすと表現しています。ここで、草の生長と人間の離別を結びつけ、生命の無常と人間の感情を深く表現しています。
- 詩の構成と表現
- 詩の構成は厳密で、前半は草の生命力を描く、後半は人間の離別情を寄託しています。そして、詩の表現も平易で明快で、言葉の選択と組み合わせが巧みで、読者に深い印象を与えます。特に、「離離」、「一歳に一たび」、「野火燒けども」、「春風吹いて」などの言葉は、草の生命力を鮮やかに表現しています。
- 背景と意図
- この詩は白居易の初期の作品で、当時彼は科举試験に備え、この詩を習作として書きました。しかし、この詩はその生命力の強さと人間の感情の深さをよく表現し、白居易の文学才能を大いに発揮しました。この詩は後に広く伝えられ、多くの人々に愛読されています。
結論
白居易の詩「草」は、自然の生命力と人間の離別情を深く表現し、平易で明快な言葉で読者に強い印象を与えます。この詩は白居易の文学才能の結晶であり、唐代文学の傑作の一つと評価されています。