巴水


白居易の詩「巴水」は、詩人が巴水(四川省東部の長江水流れ)を眺め、その景色を描きながら、心の中に抱く思いを寄せた作品です。以下はこの詩の鑑賞です。

詩文

城下巴江水,春来似曲尘。
软沙如渭曲,斜岸忆天津。
影蘸新黄柳,香浮小白蘋。
临流搔首坐,惆怅为何人。

鑑賞

1. 自然景色の描写

  • 巴水の美:「城下巴江水,春来似曲尘」で始まるこの詩は、春の巴水の美を細緻に描きます。春の季節に、巴水は曲がりくねった塵のように細かく光り輝き、水面に波紋を浮かべています。この表現は、巴水の柔美さを生き生きと現れ、読者に強い印象を与えます。
  • 細かい自然元素:「软沙如渭曲,斜岸忆天津」では、河川の岸辺の細かい自然元素を描きます。柔らかい砂浜は長安の渭河を思わせるし、斜めに伸びる岸辺は洛陽の天津橋を懐かしめます。これは、詩人が巴水を眺めながら、故郷や遠くの人を思い出す様子をよく表現しています。
  • 春の生気:「影蘸新黄柳,香浮小白蘋」は、春の生気を表現する言葉です。新緑の柳樹の影が水面に映り、小白蘋の香りが水面に浮かべられています。これらの描写は、春の景色をさらに鮮やかに現れ、詩の画面感を増します。

2. 詩人の感情

  • 懐旧と思い:この詩は、自然景色の描写と詩人の感情を密接に結びつけています。詩中には、詩人が故郷や遠くの人を思い出す様子を多く見られます。これは、詩人が巴水を眺めながら、心の中に抱く思いを寄せた結果です。
  • 惆怅の気持ち:「临流搔首坐,惆怅为何人」は、詩の終わりに、詩人の感情を高揚させる言葉です。詩人は河川の岸辺に座り、頭を掻きながら、誰を思い惆怅しているかと問いかけます。ここに、詩人の感情が最高潮に達し、読者に深い共感を呼び起こします。

3. 詩の風格

  • 平易自然:白居易の詩は、平易自然な風格で知られています。この詩も、言葉は平易で自然、感情は深いところに寄り込んでいます。詩人は細かい自然景色を描きながら、心の中に抱く思いを自然に流れ出しています。
  • 情景交融:この詩は、情景交融の技法を巧みに用いています。自然景色の描写と詩人の感情を密接に結びつけ、詩の意境を深めています。読者は自然景色を眺めながら、詩人の感情を共感し、心を動かされます。

結論

白居易の詩「巴水」は、巴水の自然景色を細緻に描きながら、詩人の懐旧と思いを表現した作品です。詩中には、自然景色の美と詩人の感情を密接に結びつけ、情景交融の技法を巧みに用いています。この詩は、白居易の平易自然な風格をよく体現し、読者に深い印象を与えます。

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